ひとくちに“よい墓石”といってもその価値観は人それぞれですが、特に重要視すべきは石の品質です。この先長い間、雨風にさらされることになるので、できるだけ風化しにくい石材を選びましょう。
墓石の種類と産地
墓石に使用される石は、国内産や外国産あわせて300種類以上あります。墓石において、国産のほうが上質と思われがちですが、必ずしもそうとはかぎりません。
石材はいろいろな国から輸入されていますが、もっとも多いのが中国産で、人件費が安いため加工まで行っている場合も。最近では外国産における加工法や品質面が高く評価されるようになり、非常に人気があります。おもな石材についてご紹介します。
花崗(かこう)岩
御影石と呼ばれ、墓石にもっとも多く使われる石材です。雲母、石英、長石がおもな成分で耐久性に優れます。中国やインド産が、価格が安く種類も豊富などの理由で、多く使われるようになりました。国産では本御影石などが品質もよく、古くから人気があります。
安山岩
キメが細かく淡い色合いが人気です。輝石、角閃石、カルシウムなどで構成され、有色鉱物の含有量が少ないため白っぽい色合いの石材。硬度や吸水率では花崗岩に劣ります。本小松石は、皇室の墓石に使われていることで有名です。
閃緑(せんりょく)岩
深成岩の1つで、斜長石や角閃石から成り、輝石、黒雲母、石英を含む石材です。明るめの青や緑が混じり、黒御影石と呼ばれる石材の一種。備中青御影石などがあり、国内では産出量が少なく稀少な石材です。
斑レイ岩
閃緑岩とともに黒御影石と呼ばれる稀少石材。塩基性の深成岩で、斜長石、橄欖石、角閃石で構成され、黒色結晶質を含み、磨くと美しい黒色となります。
高品質な墓石の選び方
簡単にいってしまえば、“品質の良い墓石”とは、耐久性の優れた石材です。といっても、素人目には判断が難しいこと。そこで、見ための美しさだけでなく、耐久性に優れた石材を選ぶための3大重要ポイントをご紹介します。
石の硬度が高い
石の硬度が高いほど、耐久性が強く風化しづらくなります。また、パッと見たかぎりではお墓の表面はツルツルに磨かれていますが、ごく小さな傷や穴が無数にある場合も。硬度が低いと、そこから欠けてしまったりヒビ割れが生じやすくなってしまうので注意しましょう。
吸水性が低い
吸水性の低い石は風化しにくく、耐久性が高いといえます。しかし、水を吸わない石はありません。石の表面には細孔という細かい穴があり、空気や水分が出入りしていますが石材にとって吸水性があることは、良いことではありません。
石が水を吸ってしまうと、鉄分と化合しサビや変色が生じます。また、吸ったところが濃くなるので、見ためにも悪影響を及ぼします。石の撥水性については、石材店にしっかり確認しておきましょう。
キメの細かさ
石をよく見てみると、斑点状の模様になっていることがわかります。こうした小さい粒の集まって石が形成されているのです。この粒が小さくてキメが細かければ、密度の高い証拠。水がしみこみにくく、磨くとツヤの美しい石となります。
色による墓石の選び方
墓石の選び方の基準の1つとして、色の選択があります。色は墓石のデザインなどに合わせて、好みで選ぶものです。しかし、墓石の色はさまざまあり、それぞれ石の特徴を表すもの。墓石の色の特徴を知って、後悔のない墓石の選び方をしましょう。
白系の墓石
白色は縁起がいいとして墓石の選び方で人気があります。白御影石は、中国産のG623やインド産のKGKなど、比較的安価で現在日本でもっとも多く使用されています。国産の真壁小目石は硬質で吸水率も低く、古くから墓石や建造物に使用されている石材です。
グレー系の墓石
グレー系は、墓石としてもっとも一般的な色。落ち着いた石目の印象で種類も多く、中国産、インド産の石材が主流で価格も手ごろです。国産では、札幌軟石や伊達冠石、男鹿石などがあります。
黒系の墓石
黒系の墓石は、縁起がよくないイメージがあり、熱を吸収しやすいため墓石が熱くなりやすく、墓石には向かないとして避けられていました。
近年は、黒御影石は高級感があるとして、黒系の墓石を選ぶケースが増えています。スウェーデン産のファイングレインや、インド産のクンナムは、最高級の黒御影石ブランドとして価格も高くなります。
赤系の墓石
赤系はインド産のニューインペリアルと呼ばれる赤御影石が有名です。またピンク系の桜御影石などもあり、洋型墓石や独自デザインの墓石に多く使用されます。
青系の墓石
青系の墓石では国産の本小松石が、最高級石材として古くから人気。色合いの美しい石材です。また、インド産のインパラブルーなどは、青い結晶が美しく輝く石材で、洋型墓石に多く使われています。
緑系の墓石
深い緑の墓石は、存在感があり石材としても高級。和型、洋型墓石など幅広く使われます。
墓石の色の変化
墓石の色の選び方で注意したいのは、石材が水で濡れると色が変わること。一般的に雨などで濡れると色が濃くなります。キメの細かい石材や、色の薄い白系は色の差が目立ちやすい傾向があるので注意が必要。石材のサンプルで、濡れたときの色の変化を確認できる場合もあります。
墓石のタイプで選ぶ
墓石の選び方で、最初に考えるのが墓石の型。和型、洋型、近年増えているオリジナルデザイン墓などがあります。
和型の墓石
伝統的な墓石の型。一番上から棹石、上台石、中台石、そして一番下に下台石という敷石を置く構造が一般的です。
洋型の墓石
近年増えているタイプ。公園墓地などの増加で人気が高まっています。横長で安定感があり、格調高い印象がある墓石です。
オリジナルデザイン墓
個性を大切にするため、生前に自身のお墓を建てるケースがあります。自分の価値観を自由にデザインした墓石です。また、故人への大切な思いを形にするために、デザイン墓を選択する場合もあります。
まずは石材店に相談しましょう
墓石のデザインや石材も、バリエーションが豊富にあります。カタログを見れば見るほど迷ってしまう方も少なくないでしょう。そんなときは、墓所へ出向いてほかの人の墓石を見て参考にしつつ、ある程度目処をつけてから石材店へ相談しましょう。
同じ石材で建立してから3年以上経過したお墓を実際に確認すれば、「思っていたイメージと違った」というようなトラブルも防げます。詳しくは、メモリアルサービスの墓石の選び方をご一読ください。